所有者本人が契約や引渡しの場所へ来られなくても、直ちに売却できなくなるわけではありません。本人が売却内容を理解し、自分の意思で売却を希望していることを確認したうえで、事前署名、郵送、司法書士による本人確認、代理人への委任などにより進められる場合があります。ただし、本人に判断能力がない場合は、家族の同意や委任状だけでは進められず、成年後見制度等の検討が必要です。
所有者本人が来られない場合でも、本人確認、売却意思、判断能力、代理権などを適切に確認できれば、売却手続きを進められる場合があります。
不動産売却では、必ずしも所有者本人が媒介契約、売買契約、残代金決済のすべてに同席しなければならないわけではありません。
遠方居住、入院、施設入所、仕事、身体的な事情などにより出席が難しい場合は、不動産会社や司法書士と事前に打ち合わせを行い、本人への面談、郵送、事前署名、代理人への委任など、状況に合った方法を検討します。
ただし、最も重要なのは、所有者本人が売却内容を理解し、自分の意思で売却を希望していることです。
| 対応方法 | 概要 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 事前に署名・押印する | 契約内容を事前に確認し、本人が書類へ署名・押印します。 | 内容確定前に署名しないよう注意します。 |
| 郵送で手続きする | 本人へ書類を送り、説明を受けたうえで返送します。 | 日数に余裕を持って進めます。 |
| 司法書士が事前確認する | 決済前に司法書士が本人確認、売却意思、必要書類を確認します。 | 司法書士が指定する方法に従います。 |
| 代理人へ委任する | 本人が特定の手続きを代理人へ委任します。 | 委任状と代理権の範囲を明確にします。 |
| オンライン等で説明を受ける | 状況に応じて、電話やオンライン面談を併用します。 | 登記上の本人確認は別途必要です。 |
所有者本人が売買契約や決済の場所へ出席できなくても、必要な確認と書類準備ができれば、手続きを進められる場合があります。
例えば、遠方に住んでいる売主様の場合、契約書を郵送し、電話やオンラインで内容を説明したうえで、本人が署名・押印して返送する方法があります。
決済については、司法書士が事前に売主様と面談し、本人確認、売却意思、登記関係書類を確認したうえで、当日は書類を預かって手続きを進めることがあります。
ただし、対応方法は、物件、金融機関、司法書士、売主様の状況によって異なります。本人が出席しないことが分かった時点で早めに相談してください。
所有者本人が適切に代理権を与えれば、代理人が契約や決済の一部または全部を行える場合があります。
ただし、代理人に何を任せるのかを具体的に定める必要があります。
価格、手付金、引渡し日、契約不適合責任、契約解除などの重要事項について、代理人がどこまで判断できるかを曖昧にしないことが大切です。
不動産、売買条件、買主様、委任する権限が明確でない委任状では、代理権を確認できない場合があります。不動産会社や司法書士が用意する今回の取引専用の委任状を使用するのが安全です。
家族であるという理由だけで、所有者本人に代わって不動産を売却することはできません。
配偶者、子、兄弟姉妹であっても、所有者本人から適切に代理権を与えられていなければ、本人の代わりに売買契約を締結する権限はありません。
本人の名前を家族が記入したり、本人の印鑑を家族が押したりするだけでは、適切な代理手続きとはいえません。
無権限の方が本人の代理人として契約した場合、本人が追認しない限り、原則として本人に契約の効力が生じない可能性があります。
必要書類は、代理する範囲や司法書士の確認方法によって異なりますが、一般的には次のようなものを準備します。
| 書類等 | 主な目的 |
|---|---|
| 本人から代理人への委任状 | 代理人へ委任した権限を確認します。 |
| 所有者本人の印鑑証明書 | 委任状等へ押印された実印を確認します。 |
| 所有者本人の本人確認書類 | 所有者本人であることを確認します。 |
| 代理人の本人確認書類 | 代理手続きを行う方を確認します。 |
| 登記識別情報通知・権利証 | 所有権移転登記に使用します。 |
| 売買契約書・登記関係書類 | 契約条件と登記申請内容を確認します。 |
| その他の確認資料 | 司法書士が必要と判断する書類を準備します。 |
本人と代理人の関係を示す戸籍等が必要になる場合もありますが、親族関係を証明できることと、代理権があることは別の問題です。委任状によって代理権を確認します。
所有権移転登記を担当する司法書士は、売主様本人であること、本人が売却を希望していること、取引内容を理解していること、必要な書類がそろっていることなどを確認します。
親族が「本人は売りたいと言っている」と説明するだけではなく、原則として司法書士等が本人へ直接確認できることが重要です。
県外や海外など遠方に住んでいる場合でも、査定、媒介契約、売買契約、決済の方法を事前に調整すれば、売却できる場合があります。
郵送には日数がかかり、書類の訂正が必要になる場合もあります。契約日や決済日まで十分な期間を確保しましょう。
入院中や施設入所中であっても、本人に売却の意思と判断能力があり、本人確認や書類への署名・押印ができれば、売却できる場合があります。
司法書士が病院や施設を訪問し、本人確認や売却意思の確認を行う方法も考えられます。ただし、訪問の可否、面会時間、感染症対策、本人の体調などを事前に調整する必要があります。
身体を動かしにくいことと、売却内容を理解できないことは同じではありません。身体的な事情があっても、本人の意思を確認できれば進められる場合があります。
認知症、脳疾患、意識障害、記憶障害などにより、本人が売却内容を理解できない場合は、通常の委任状だけで売却を進めることはできません。
委任状は、本人が委任する内容を理解し、自分の意思で代理権を与えられる状態で作成する必要があります。
本人が売却価格、対象不動産、売却後の生活、契約によって生じる結果などを理解できない場合は、家族全員が売却に同意していても、それだけで本人の不動産を売却することはできません。
認知症等の診断があるから必ず売却できない、診断がないから必ず売却できるというものではありません。契約時点で本人が今回の売却内容をどの程度理解し、自分の意思を示せるかが重要です。司法書士や医師等への確認が必要になる場合があります。
本人の判断能力が不十分で、本人自身が売却契約や委任を行うことが難しい場合は、成年後見制度の利用を検討することがあります。
法定後見制度では、家庭裁判所が成年後見人、保佐人、補助人などを選任し、選任された方が与えられた権限の範囲で本人を支援します。
ただし、保佐人や補助人が不動産を売却するには、不動産処分に関する代理権が付与されている必要があります。
また、成年被後見人等の居住用不動産を後見人等が売却する場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です。現在は施設へ入所していても、以前住んでいた住宅や将来戻る可能性がある住宅は、居住用不動産に該当することがあります。
後見開始の申立て、後見人等の選任、売却条件の検討、家庭裁判所の許可などに時間がかかる場合があります。売却期限が決まっている場合は、早めに司法書士、弁護士、家庭裁判所等へ相談する必要があります。
本人が以前に任意後見契約や財産管理に関する委任契約を締結している場合でも、その契約だけで今回の不動産を売却できるとは限りません。
契約が発効しているか、不動産売却の代理権が含まれているか、対象となる不動産や権限の範囲が明確かを確認します。
任意後見契約は、本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じる仕組みです。契約書の名称だけで判断せず、司法書士や弁護士へ内容を確認してください。
共有不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の売却意思と手続きが必要です。
共有者の一人が遠方に住んでいる場合などは、その共有者だけ事前署名や代理人による手続きを行う方法があります。
ただし、ほかの共有者が代理で署名する場合は、本人からの適切な委任が必要です。共有持分が少ない方であっても、その方の同意や権限確認を省略することはできません。
所有者が海外在住の場合も売却できることがありますが、国内居住者とは必要書類や本人確認方法が異なる場合があります。
居住国や登記状況によって必要書類が変わるため、売買契約前に担当司法書士へ確認してください。
| 所有者本人の状況 | 主な対応方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 遠方に住んでいる | 郵送、事前署名、事前本人確認 | 郵送期間に余裕を持ちます。 |
| 仕事で当日来られない | 事前手続き、代理人への委任 | 司法書士の本人確認が必要です。 |
| 入院・施設入所中 | 訪問確認、郵送、代理手続き | 本人の意思と理解を確認します。 |
| 身体を動かしにくい | 訪問、代筆等の方法を個別検討 | 本人の意思確認を省略できません。 |
| 判断能力に不安がある | 司法書士等へ相談、後見制度を検討 | 家族の委任状だけでは進められません。 |
| 海外に住んでいる | 署名証明、委任状、事前本人確認 | 国や地域によって書類が異なります。 |
親族であっても、本人から適切に代理権を与えられていなければ、本人の代わりに契約できません。
本人確認や郵送が間に合わず、契約日を延期する場合があります。
今回の売却について、どの権限を委任したのか確認できない可能性があります。
本人の意思による契約であることを確認できず、重大なトラブルにつながる可能性があります。
契約や登記の有効性に問題が生じ、手続きを中止しなければならない場合があります。
不動産の所有者が本人である以上、家族の同意だけで本人の不動産を売却することはできません。
都城市・三股町の相続不動産や空き家では、所有者様が県外に住んでいる、施設へ入所している、入院しているなど、本人が当社へ来店できないケースもあります。
本人に売却意思と判断能力がある場合は、郵送や事前面談、司法書士による訪問確認、代理人への委任など、本人の負担が少ない方法を検討できます。
一方、本人の記憶や判断能力に不安がある場合は、家族だけで先に売却条件を決めたり、本人名義の契約書へ代わりに署名したりせず、最初に司法書士や弁護士へ相談することが重要です。
司法書士が本人の意思を確認できない場合は、売買契約を締結しても所有権移転登記を進められない可能性があります。買主様が見つかった後ではなく、査定・売却相談の段階で本人確認の方法を整理しましょう。
拓新リアルティ不動産では、所有者様、代理人となる方、司法書士などと事前に連携し、契約当日や決済直前に手続きが止まることのないよう準備を進めます。


