現状有姿とは、売買契約時に確認された現在の状態を基本として、不動産を引き渡すことです。売主様が新品同様の状態に修理して引き渡すという意味ではありませんが、把握している不具合を隠してよいわけでもありません。物件状況報告書、付帯設備表、売買契約書などで、現状と責任範囲を具体的に定めることが重要です。
現状有姿での売却とは、売買契約時に買主様が確認した不動産の状態を基本として、売主様が大規模な修理や改修を行わずに引き渡す売却方法です。
中古住宅には、築年数や使用に伴う傷、汚れ、設備の劣化などがあるため、現在の状態を前提として売買することは一般的です。
しかし、「現状有姿」という言葉だけで、売主様のすべての責任が自動的になくなるわけではありません。
売主様が把握している雨漏り、シロアリ被害、給排水管の不具合、設備の故障、増築、越境などは、買主様へ正確に説明する必要があります。
また、売買契約でどのような状態を前提としたのか、売主様が修理する箇所はあるのか、契約不適合責任をどこまで負うのかを、書面で具体的に定めることが重要です。
一般的には、売買契約時に確認された物件の状態を基本として引き渡すことを意味します。
ただし、契約から引渡しまでの間に新たな破損や雨漏りなどが発生した場合まで、当然に買主様が負担するとは限りません。
契約後に建物の状態が変化した場合は、売主様と買主様で事実を確認し、修理、代金調整、引渡し条件などを協議する必要があります。
「現状有姿」の基準時点や、契約後に物件の状態が変化した場合の取扱いは、売買契約書で確認することが大切です。
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 現状有姿なら何も説明しなくてよい | 把握している不具合や履歴は、買主様へ説明することが重要です。 |
| 現状有姿なら売主は一切責任を負わない | 責任の有無は、契約内容、説明内容、当事者の属性などによって異なります。 |
| 買主は引渡し後に何も請求できない | 契約で合意した状態と異なる場合は、契約不適合責任が問題となる可能性があります。 |
| 中古住宅はすべて自動的に現状有姿になる | 引渡し条件や責任範囲は、契約ごとに明確に定める必要があります。 |
| 現状有姿なら契約書の特約は不要 | 修理事項、免責範囲、不具合、設備の扱いなどを具体的に記載することが重要です。 |
現状有姿と、契約不適合責任を負わない旨の特約は、関連することがありますが、同じ意味ではありません。
現在の状態を基本として物件を引き渡すという、引渡し方法や売買条件に関する考え方です。
引き渡された物件が契約内容に適合しなかった場合に、売主様が負う責任を免除または制限する契約上の取決めです。
例えば、物件を現状有姿で引き渡すことに合意していても、契約書で「雨漏りはない」とされていたのに、契約時から存在していた雨漏りが引渡し後に判明した場合は、契約内容との相違が問題となる可能性があります。
反対に、雨漏りの場所や発生状況を契約前に具体的に説明し、買主様がその状態を理解して購入した場合は、その状態を含めて契約内容を整理できます。
契約不適合責任とは、引き渡された不動産が、種類、品質、数量などについて売買契約で定めた内容に適合していない場合に問題となる売主様の責任です。
契約不適合がある場合、契約内容や法律上の要件に応じて、買主様から修補などの追完、代金減額、損害賠償、契約解除などを求められる可能性があります。
重要なのは、築年数が古いかどうかだけではなく、売主様と買主様がどのような状態を契約内容としたかです。
「古い中古住宅だから不具合があって当然」という考えだけでは十分ではありません。確認されている傷みや不具合を具体的に説明し、どの状態で引き渡すのかを書面で合意することが大切です。
現状有姿や契約不適合責任免責の特約がある場合でも、売主様が把握している重要な不具合を買主様へ伝えずに契約することは、大きなトラブルにつながる可能性があります。
特に、次のような事項は、買主様の購入判断に大きく影響します。
原因や範囲が分からない場合は、推測で断定せず、確認できている事実と未確認の事項を分けて説明します。
物件の状態は、口頭説明だけではなく、複数の書面を利用して買主様へ伝えます。
雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、給排水設備、境界、越境など、売主様が把握している物件の状況を記載します。
キッチン、給湯器、エアコンなど、買主様へ引き継ぐ設備の有無、故障、不具合、動作確認の状況を記載します。
法令上の制限、道路、上下水道、登記、管理関係など、宅地建物取引士が説明する重要事項を記載します。
引渡し状態、修理事項、残置物、境界、契約不適合責任の範囲など、売主様と買主様が合意した条件を定めます。
高額なリフォームや設備交換を行わず、現在の状態で販売を始められます。
修理や工事の完了を待たずに、売却活動を始められる場合があります。
買主様が好みの間取りや設備を選び、購入後にリフォームできます。
売主様が改修した箇所を、買主様が購入後に再び撤去するという無駄を避けられます。
現状有姿で売却する場合でも、すべてを現在の状態のまま引き渡せるとは限りません。
売買条件や買主様との合意により、次のような対応が必要になる場合があります。
現状有姿での売却であっても、家具、家電、衣類、生活用品などを当然に残してよいわけではありません。
一般的には、売主様の所有物は引渡しまでに撤去することが基本です。
ただし、買主様が残置物を含めて引き受けることに合意した場合は、残す物、処分する物、費用負担、所有権の取扱いなどを契約書で明確にします。
「現状有姿だから、家の中の物もすべて残してよい」と判断せず、事前に買主様と協議してください。
キッチン、給湯器、エアコン、温水洗浄便座などの設備については、現在使用できるか、故障しているか、動作未確認かを整理します。
買主様へ残す設備は付帯設備表などへ記載し、故障や不具合がある場合は具体的に説明します。
長期間空き家で電気・水道・ガスを停止しており、動作確認できない場合は、「故障なし」と断定せず、「動作未確認」として説明します。
個人の売主様と個人の買主様による売買では、契約不適合責任の範囲や期間について、当事者間の合意により免除または制限することがあります。
ただし、売主様が知りながら買主様へ告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れない可能性があります。
一方、宅地建物取引業者が売主となり、一般のお客様が買主となる売買では、宅地建物取引業法などにより、買主様に不利な責任免除・制限が認められない場合があります。
売主様と買主様の属性によって適用される規定が異なるため、契約書の内容を一律に判断しないことが大切です。
具体的な不具合や責任範囲を記載しておらず、引渡し後に双方の認識が食い違うことがあります。
免責特約があるから問題ないと考え、引渡し後に補修や損害賠償をめぐる紛争になる可能性があります。
どの不具合をどこまで説明したかについて、売主様と買主様の認識が一致しないことがあります。
買主様の承諾を得ずに残置物を残し、撤去・処分費用の負担をめぐって問題になる場合があります。
契約時より物件の状態が悪化しており、引渡し条件との相違を指摘される場合があります。
引渡し後に設備が使用できず、修理費用の負担をめぐる問題になる可能性があります。
例えば、相続した築年数の古い住宅について、「建物の詳しい状態が分からないため、現状有姿で売りたい」というご相談があります。
この場合でも、売主様が確認できる範囲で、雨漏り、シロアリ被害、設備の故障、修理履歴などを整理します。
確認できない部分は、「異常なし」と断定せず、「相続物件のため詳細不明」「床下未調査」「設備は動作未確認」など、確認状況を具体的に説明します。
そのうえで、買主様が現在の状態を理解し、購入後の修理やリフォームを前提として購入できるよう、価格と契約条件を整理します。
都城市・三股町の中古住宅や空き家では、築年数に応じた傷みがあるため、現状有姿を基本として売却することは珍しくありません。
しかし、「現状有姿」という言葉を契約書へ入れるだけでは、売主様と買主様の認識を十分に一致させることはできません。
当社では、売主様から建物や土地の状況、過去の修理、設備の故障などを丁寧にお聞きし、物件状況報告書や付帯設備表へ具体的に記載します。
相続したため詳しい状態が分からない場合は、確認済みの事項と未確認の事項を分けて説明します。
また、売主様が修理して引き渡す事項、買主様が現状のまま引き受ける事項、契約不適合責任を負う範囲などを、売買契約書の特約で整理します。
中古住宅だから何があっても買主様の自己責任になるわけではなく、反対に、築年数の古い住宅を新品同様にして引き渡す必要があるわけでもありません。
現在の状態を正確に伝え、売主様と買主様が納得できる契約内容を作ることが、現状有姿で安全に売却するために最も重要です。


